電源/GNDのショートしている位置を見つける方法

今日は、マイコンとは少し離れますが、電子回路を搭載した基板の不具合で結構やっかいな、電源/GNDのショート個所の特定方法について実体験に基づき、情報を発信しようと思います。今後も、マイコンだけに関わらず有用な情報を発信してゆこうと思います。困った時の参考になれば幸いです。


【用意する物】
1.CCCV電源(定電圧/定電流・制御が出来る安定化電源)
2.マルチ・メーター(又は、テスター)


【電圧探査方法】
1.ショートしていると思われる電源プレーンとGNDプレーンの端を探します。


2.ショートしていると思われる電源プレーンとGNDプレーンの端で抵抗値を測定します。

この時、計測した抵抗値をメモしておきます。


3.電圧/電流・制限値をCCCV電源に設定して、電源プレーンの端から電流を流し込みます。

電圧は、正規の電圧より低い値にします。例えば、5[V]電源プレーンでしたら、500[mV]/500[mA]程度の電圧/電流・制限値をCCCV電源に設定します。

4.マルチ・メーター(又は、テスター)で、端から順番に電圧を計測して、徐々に電圧が低下し、 ある測定電圧で低下が止まり、一定電圧になった場所を探索します。

基板のアートワークがどの様に なっているのか、情報をもっている場合は簡単なのですが、情報が無い場合もあると思います。その場合は、電圧の等高線を作るイメージで注意深く電圧の分布のイメージを持つ必要があります。例えば、以下のようなアートワークとショートしている位置があったとすると、電圧の等高線の探索を途中でやめてしまうと間違った結果を得ることになります。○印をCCCV電源を接続するポイントとして、* 印がショート個所とした場合、? の分岐に向かって電圧 を探査すると、分岐点のポイントから、? の最終端までは測定電圧が一定に見えてしまいます。すると、分岐点の近傍にある部品,又はパターンがショートしていると判断してしまう事になります。この点を意識して探査をすると良いと思います。

○____________*________\
    |
    |_______?


5.電圧の低下が止まった個所が分かったら、その近辺にある部品(バイパス・コンデンサー/半導体デバイス)を取り外します。(又は、電源ピンを足上げして浮かしてみます。)


6.ショートしていると思われる電源プレーンとGNDプレーンの端で抵抗値を測定します。


7.ショートした状態の抵抗値が解消されて、抵抗値が大きく上がっている事を確認します。

部品を取り外した状態でショート状態が解消されていれば、以下の手順は事実の基本的に不要で再確認程度の意味となります。もしショートが解消されていない場合は、まれに複数個所ショートしている事も考えられるので、念のため抵抗値を計測します。


8.取り外した部品の電源/GND端子間の抵抗値をマルチ・メーター(又は、テスター)で計測します。

取り外した部品の抵抗値が、ショートしていると思われる電源プレーンとGNDプレーンの端で抵抗値に近いか確認します。
8.で測定した抵抗値がかなり低い場合は、ショート個所と断定出来ます。しかしながら、まだ電源/GND端子間の抵抗値が低い場合は、5.に戻って、さらに近傍の部品を取り外して電源/GND間の抵抗値を測定してショートが解消されているか確認してみます。


私の場合、搭載部品数が1000個以上ある座布団くらいの不具合基板の解析を仕事でいきなりやる事になりましたが、原理原則に基づいて検証してゆけば必ず答えは見つけられると思い、この方法で挑戦してみたところ納得のいく結果が得られました。
今回、私が解析した基板は、セラミック・コンデンサーのショートが原因でした。たぶん、応力がかかり、部品が耐えきれずに積層部分にクラックが入ったものと推定しています。

その他の方法として、赤外線カメラを使う方法があります。こちらも、実際に使用してみた結果、かなり絞り込みまでの時間が短縮出来る感触を得たのでご紹介したいと思います。


【赤外線探査方法】
これは、電圧探査方法でショートしている部品を特定出来てから実際にやってみて有効であるという事が分かった方法です。
ショートといっても、部品やパターンが完全にショートしていない事が殆どで、正確にはショートしかかっているといったところです。
そこで、上記の方法と同じ端から電流を流しこんで、発熱している個所を探すという方法をとってみたところ、簡単に特定が出来たので、こちらもお勧めです。

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